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ボートレースはなぜ勝ちにくいのか~平均値の話

ボートレースはなぜ勝ちにくいのか~平均値の話

ボートレースは、ギャンブルの中でも屈指の難しさを誇るもののひとつです。

界隈では、「控除率が高すぎるから」という理由がよく聞かれます。

確かに、ボートレースを含む日本の公営ギャンブルは控除率が特に高く、そもそも勝ちにくい仕組みだといえます。

それは確固たる事実です。

ただ、私はそれを言い訳にしません。なぜなら、控除率は“一律”なのだから──

ある人は周りより控除率が低く、またある人は高い──そのようなことは絶対にありません。

それでも、長期的に回収率が100%を超えている、俗にいう“勝ち組”が存在するのもまた事実なのです。

では、なぜボートレースは勝ちにくいのでしょうか──

“勝つ”を数式で捉えなおす

ここでは、ボートレースで“勝つ”ことを「回収率を上げる」こととして、話を進めます。

私は回収率を算出するとき、以下のような数式を使うことを推奨しています。

舟猫の方程式(簡易バージョン)。回収率=的中率×平均払戻額÷平均購入点数÷100の式を示している。

この式は、(何も付いていないものには“×”を置くとして)“×”が付いた「的中率」や「平均払戻額」を増やし、“÷”が付いた「平均購入点数」を減らすことで、回収率が上がることを示したものです。

ここでは、「平均払戻額を増やす(上げる)」という点に着目して、ボートレースがなぜ勝ちにくいのかを考えてみましょう。

そこで、こんな物語を想像してみてください──

平均点60点への挑戦

塾長に叱られる講師

あなたは塾の講師をしています。

あなたが受け持つ生徒たちの先日おこなわれた全国模試の成績は、100点満点中以下のとおりでした。

クラスの5人の平均点を示した図。55点、36点、40点、57点、62点から平均50点を算出している。

そこで、あなたは塾長に呼び出され「クラスの平均点を60点にしなさい!」と命じられたのです──

散々悩んだあなたは、「模試で点数の高かった生徒を見つけて引き抜こう!」と考えました。

そこで、週末にしかおこなわれないのに生徒数がかなり多い、ある塾から馬くんを見つけ出し、彼をクラスに迎え入れました──

「平均点を上げるために得点の高い生徒を加える」という考え方は、皆さんもきっと思い付く対策でしょう。

馬くんの模試の点数は何点で、クラスの平均点はどれくらい上昇したのでしょうか──

馬くんが来ても届かない60点

馬くんをクラスに迎え入れる講師

馬くんは86点という優秀な成績で、あなたの目論みどおりクラスの平均点を上げること“には”成功しました。

クラスに86点の馬が加わったことで、6人の平均点が56点になったことを示した図。

ただ、50点から56点に改善されたものの、塾長に命じられた60点にはまだ届いていません──

86点という、かなり高得点の生徒が加わったというのに、それほど平均点が上昇しなかったと感じたのは私だけでしょうか。

ただ、この話には続きがあるのです──

クラスの平均点を上げる方法に悩む講師

努力も実らず、ここからさらにどうしようかと頭を抱えていたある晴れた昼下がり、一本の知らせがありました。

牛くんが退塾するというのです──

さよなら牛くん、そして目標達成へ

牛くんが車で塾を去る様子

数日後、牛くんは悲しそうな瞳で車に揺られながら、塾を去っていきました。

寂しさに浸っていたあなたでしたが、ふと我に返り、クラスの平均点を計算しなおしてみると──

クラスから36点の牛が抜けたことで、5人の平均点が60点になったことを示した図。

その点数は60点と、塾長から命じられた目標を達成していたのでした──

クラスで最も低かった生徒の得点を計算から外すことで、さらなる平均点の上昇に成功したことになります。

この話から、平均値を上げる手段として、「値の高いものを加える」と「値の低いものを除く」という、ふたつのアプローチがあることがわかりました。

これをボートレースに置き換えるとどうなるでしょうか──

ふたつの教訓を舟券へ

まずは、物語の後半で見えてきた、平均値を上げるための「値の低いものを除く」という考え方から見ていきましょう。

皆さんも薄々気付かれていると思いますが、これをボートレースに当てはめるなら、「低い配当の組番は買わない」ということです。

トリガミ回避の手法として、すでに実行している方もおられますよね。

低い配当の組番を自身の買い目から外すことは、平均払戻額を引き上げる方向に働くのです。

では、物語から見えてきたもうひとつの「平均値を上げる手段」についても考えてみましょう。

高配当を狙うという発想

それは「値の高いものを加える」というものでした。

それをボートレースにたとえるなら、「配当の高いものを的中させる」ということに、ほかなりません。

言われてみれば、当然のことのように思えます。

ですが──実際にそれがどれほど難しいことなのか、ボートレースの払戻額から確かめてみましょう。

払戻額が描くいびつな山

ある半年間における3連単払戻額の対数正規分布を見やすく加工したグラフ。高額になるほど出現回数が少なくなり、右裾が長く伸びている。

これは、ある半年間の3連単における払戻額の出方をグラフに表しました。

対数正規分布とよばれるものに近似していると考えられていて、左に大きな山があり、右の裾が長く伸びていることが特徴です。

ただ、このグラフは伝わりやすいように加工したもので、実際はこのようなグラフになります。

ある半年間における3連単払戻額の対数正規分布。高額になるほど出現回数が少なくなり、右裾が長く伸びている。

実は、右の裾はこれほどに長いのです──

もうひとつの山、正規分布

ここで、少し先ほどの物語に戻ります。

払戻額の分布は特徴的な形をしていましたが、「テストの点数の分布」は下のような形になると想定されます。

平均値付近がもっとも高い山となり、左右対称になだらかなカーブを描く正規分布の形を示したグラフ。

平均点付近がもっとも高い山になっていて、そこから左右対称になだらかなカーブを描く、きれいな山型です。

このような分布は正規分布とよばれ、この形は私たちの周りでも多くの事柄に当てはまるとされています。

的中率も実はこの仲間

ボートレースの的中率も、試行回数が十分に多ければ正規分布に近い形状になります。

たとえば的中率25%の人なら、波があるとはいえその値付近で一日を終えることがもっとも多く、そこから離れるにつれて遭遇する機会が少なくなる──そのようなことが直感で伝わるでしょう。

同じボートレースの結果から生まれる数値のはずなのに、払戻額と的中率とでは、まるで違う形の山になるのです。

平均値を上げるために必要なこと

ここで、正規分布と対数正規分布を見比べながら、平均値について深掘りしてみましょう。

前提として、平均値を上げるためには、少なくとも現状の平均値より大きな値が必要になります。これは、分布の形にかかわらず変わりません。

では、ある日のあるレースで、15,800円以上の配当を手にできればプラス収支で終われる──とします。

これは、上の集計期間では上位約10%にあたるのですが、先ほどのテストの点数の分布と並べて見てみましょう。

正規分布の上位10%を並べてみると

正規分布と対数正規分布の上位10%を示した図。どちらも面積は10%だが、対数正規分布は右裾が長く、上位10%にあたる値の範囲が正規分布より広い。

テストの点数には、最高点が100点と決まっているため、上限がはっきりしています。

そのため、正規分布では上位10%にあたる範囲もコンパクトにまとまっていて、その感覚は横軸にある緑色の矢印からもうかがえます。

このようなグラフを見慣れない方でも、何となく想像できたのではないでしょうか──

対数正規分布の上位10%は広すぎる

一方、対数正規分布では、上位10%という割合そのものは、もちろん同じ10%です。

しかし、その右側の裾がはるか遠くまで伸びているため、上位10%にあたる配当の範囲は非常に広くなっています。

それを表しているのが、横軸にある紫色の矢印の長さ──

これだけ広い範囲にわたると、どのあたりを狙えばよいのか判断するのも難しくなるでしょう。

同じ「上位10%」という言葉なのに、これほど中身が違うとは、意外に感じませんか──

“狙いにくさ”がもたらすもの

横にこれほど長いと、「なぜそこを狙ったのか」の理由づけも難しく、それが舟券成績と直結しなければ、メンタル面でも圧迫されてしまうでしょう。

ボートレースが勝ちにくい、つまり回収率を上げることが難しい主要な要因は、払戻額の特徴的な分布によって、平均値を上げることそのものが難しいからだと考えられます。

平均値を制する者、ボートレースを制する

今回は、「ボートレースはなぜ勝ちにくいのか」をテーマに、払戻額に着目しながら、平均値を上げるための考え方をお話ししました。

ボートレースの払戻額も、控除率と同じく、誰もが同じ分布の中で向き合うことになります。

ただ、その特徴を知ることで意味のある対策ができ、周りとの差がつくことは間違いありません。

「平均値を制する者が、ボートレースを制する」──私はそう言っても過言ではないと考えています。

皆さんが“勝ち組”に近づけるよう、今回の記事もぜひ参考にしてみてください。